2022/11/12 - 11/19
菅木志雄「分界」
Kishio Suga
acrylic, rope and wood / 90×60 / 1991
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『もの派』を代表する画家の一人である菅木志雄の一作。
ロープに分断された9つの空間、縦に平行に立ち並ぶ8本のロープ。それに結び付けられた出っ張った木材。それが積み重ねられた唯一の箇所。この作品を一見すると人間の視線は全体で捉える、もしくは区分けされた各部分に視線が集中してしまう。近づいてよく目を凝らすと赤茶の絵具に視線が行くが、すぐに木目の模様に視線が移る。木と同系色の絵具を使うことで統一感を持って我々の目に映るが、それはより一層木目の存在を浮き彫りにしているようである。菅木志雄はよく「状況」という言葉を使うが、この作品も『もの』が美術品に置き換わる「状況」を作り上げているのだろうか?
また作品下部の凸部分は上部のみ絵具が付着し、側面から下にかけては至っていない所を見るに、ロープ伝いに絵具が上から下に垂れ流されたようで「伝達」に近い印象も受ける。